初心者の「ゴルフの障害を打ち破る」社交 第4回(1〜5回)

初心者の「ゴルフの障害を打ち破る」社交 第4回(1〜5回)

前回の「費用」に引き続き、今回は「社交」についてご紹介します。

 社交

  • どうやってゴルフを始めたらいいのか、またどうやってゴルフを再開したらいいのか分かりません。
  • 誰からもゴルフに誘ってもらえません。
  • ゴルフを学ぶ場や、一緒にラウンドをする人がまわりにいません。

イリノイ州にあるゴルフ場では、新規顧客としてのニューゴルファー開拓の一環として、会員向けのソーシャルイベントを開催し成功しているようです。最近行われたイベントの例を挙げると、会員が連れて来る招待客をカクテルサービスで迎え、レストランでのひと時を楽しんでもらっているそうです。また、招待客に、会員たちが快適に過ごしている姿を一緒に体験してもらい、さらに、ゴルフの基本を教え、練習場を案内するなどして徐々に環境に慣れてもらえるよう、週ごとにイベントを設けて、工夫を凝らしているそうです。これらの工夫は、招待客がコースやクラブハウスに来たものの、どこに行って何をして良いのかわからないという状況に置かれ易いことを踏まえ、招待客がゴルフ場に歓迎されていると感じられるようにとの計らいです。これらのイベントへの参加を通じ、招待客に、またプレーをしに戻って来たいと思ってもらうことが狙いです。

ウエストバージニア州のゴルフ場では、ニューゴルファーの育成に成功しているようです。特に、同ゴルフ場は、ジュニアプログラムに力を入れており、ファーストティープログラムやPGAジュニアリーグ、LPGA-USGAガールズゴルフのサマーキャンプには40人のジュニアが参加し、結果的に他のプログラムも含めて年間300人以上のニューゴルファーが参加したそうです。

成人向けのプログラムでは、女性向けのプログラムを開催し、会員を増やすための工夫として、メンズクラブとレディースクラブをそれぞれ独立して設けているのも特徴です。両方とも、定期的にトーナメントスケジュールを組み、フェイスブックなどでSNSを利用して会員を募り、会員拡大に成功を感じているそうです。

ゴルフを始めたきっかけが「自身による固い決意」という人は少なく、だいたいが家族や友人に誘われた、会社のコンペに参加することになった、など環境的な要因によって始めることが多いようです。

NGFスクールの入会理由に関する調査でも、自身の積極的な理由から入会した人は全体の13%に過ぎず、それに対して周囲の人に誘われて入会した人が半数近くを占めており圧倒的に多くなっています。このように「誘われて」初めてゴルフを始めるニューゴルファーが圧倒的に多い現状を考えた場合、前述したイリノイ州のゴルフ場のイベント開催における工夫は、ニューゴルファーの心理を突いた効果的な新規顧客開拓策であると言えます。NGFのテキストでは「未経験者のメンタルハザード(精神負担)」の章で、初心者の抱える大きな障害を取り除くことの重要性を説いていますので、そちらもご参照ください。

衰退期に入っているマーケットでは自然成長率が乏しいことから、経営状態を現状維持するにも積極的な新規開拓が必要になります。需要低迷期が続く日本でも、顧客としてのニューゴルファーの新規開拓にはどのゴルフ場も創意工夫を凝らしていることかと推察します。もっとも、上記で紹介した米国におけるゴルフ場のように、ニューゴルファーの心理状態をおもんばかることにより、新たに顧客開拓のためのアイディアが生まれてくるのかもしれません。

ゴルフ経営原論 /第一部ゴルフビジネス/第二章プロモーション/1. ニューゴルファー開拓とEラーニング(https://www.ngf-fe.co.jp/member/g/software/text/GB/GB_1_2-1.html

また、未来のゴルファー育成の中でもジュニア指導はとても重要視されています。しかし、インストラクションの中で最も難しいとされているのもジュニア指導です。ジュニア指導の目的は、人間教育と人格形成です。そしてその目的を実現させるためには、継続性と一貫性を追求しなければなりません。日本においてゴルフはジュニアには贅沢過ぎると言われるスポーツですが、他のスポーツでは得られない大きな利点があります。それはゴルフが唯一審判のいないスポーツだからです。審判がいないということは、スコアをごまかさず自分のプレーに最後まで責任を持つということです。ゴルフの基本精神とは礼儀、品格、正直、誠実、忍耐、寛容など「人の徳」と言われるもので、子供のうちに養う機会が与えられることは本当に素晴らしいことです。ですので、これらの基本ポリシーは教育として提供すべきものでしょう。

ジュニアクラブを運営する上で気をつけるべき点などについては、下記に記されていますので、ご参照いただければと思います。

ゴルフ経営原論/第一部ゴルフビジネス/ 第三章インストラクション/6. ジュニアスクール&クラブの計画と運営(https://www.ngf-fe.co.jp/member/g/software/text/GB/GB_1_3-6.html)

NGF FAR EAST 代表  宮田 万起子

 

会員用参考資料:

ゴルフ経営原論/第一部ゴルフビジネス/第二章プロモーション/1. ニューゴルファー開拓とEラーニング(https://www.ngf-fe.co.jp/member/g/software/text/GB/GB_1_2-1.html

ゴルフ経営原論 /第一部ゴルフビジネス/第三章インストラクション/6. ジュニアスクール&クラブの計画と運営(https://www.ngf-fe.co.jp/member/g/software/text/GB/GB_1_3-6.html)