今回は、米国ゴルフ場の閉鎖と開場の数が、ゴルフ界の健全性を表す指標であると同時に、
その数値の示唆していることについての分析結果をお知らせします。
ゴルフコースの開場と閉場の数は、ゴルフ界の健全性の指標とされています。
過去10年間に開場した米国ゴルフ場数は約200コース以上。
それに対し、閉場した数は開場数をさらに上回り、
結果的にゴルフコース総供給量は約10%減少しているそうです。
しかしながら、この10%という数値だけを見て、
ゴルフ界に問題があるという結論は早計と言えます。
ゴルフ界全体を大局的に俯瞰することで見えてくるものがあります。
それは「ポートフォリオの再構築」及び「将来への準備」です。
最近の米国ゴルフ市場の変化には、多様化が顕著に表れています。
日中または夜間のプレー、屋内または屋外のプレー、
30ドルほどの低額から200ドルほどの高額のプレー、
1人または大勢の友達とのプレー、
バーまたはリビングでのシュミレーションゴルフ、
バーチャルでのゴルフゲームまたはリアルでのゴルフプレーなど、
サービスの広がりは様々です。
特に新たな体験型のサービスが大きく成長したと言えるでしょう。
その背景には、ゴルフ場建設の時期が多いに影響しています。
1986〜2005年の20年間で4500コース以上が建設され、
この時代に建設されたゴルフコースにおいて、近年、インフラの改善時期を迎えています。
そして、インフラの改善と同時に自主的な改良として、
多様化に対応した改良がなされていると推測される統計が出ています。
ゴルフコースの改修規模は過去5年間で90億ドル以上が投資され、
2020年のNGF調査では、
パブリックコースで約80%、
プライベートコースで約85%のコースで
改良または改修を行ったと回答結果があります。
コース改良が行われた箇所としては、
グリーン、フェアウェイ、ティーインググランド、バンカーの改修、
芝生の張り替え、灌漑工事、クラブハウス改良、練習施設のグレードアップ、
その他、資本投資まで様々です。
ゴルフ界の健全性を示す指標からは、全般的にゴルフ投資は堅調であることを読み取れます。
コースの開場数はまだ限られていますが、
大局を見れば健全性や「新しさ」を示していると言えるでしょう。
米国NGFの統計で注目すべきは、改良投資がゴルフコースの芝草や練習場にあるという点です。
日本においてもバブル時代に建設された多くのゴルフ場は、
接待を目的とした豪華絢爛なクラブハウスに重きを置かれ、
本来芝草等にかけるべきコストがクラブハウスにかかってしまっています。
本来の目的に立ち返った視点で改修・改良を進めることで、
日本のゴルフ場はより利用しやすく、ゴルファーに親しまれる存在になるものと考えます。
ゴルフ経営原論の第4章(2) 施設マネジメントでは、
経営ポリシーに立ち返り、現状を分析・把握して経営の在るべき姿から、
コース改修・改良をデザインするための概念を得ることができます。
https://www.ngf-fe.co.jp/software/text/GB/GB_1_4_2-0.html
NGF FAR EAST
代 表 宮 田 万 起 子