ゴルフコースでの服装は、
他人に不快な思いをさせないためのエチケットであると
一般的に理解されている一方、
ゴルフ未経験者にとっては、
没個性で似たり寄ったりな服装を求められ、窮屈な印象を受け、
ゴルフを始めること自体を躊躇させる要因にもなっているかもしれません。
世界のビジネスシーンでは、パソコン一つで仕事ができる時代にシフトされ、
よりカジュアルな服装で仕事が行われるようになり、
こうした傾向をゴルフウェアについても反映すべきか、考えてみたいと思います。
服装が人に与える心理として、
白衣を着ることで集中力が高まることや、エレガントな装いが、
創造性や問題解決に不可欠な抽象的思考を高めることが、
科学的に証明されているそうです。
私自身、服装で身を引き締めた経験があるように、
立場がその人を作ると言われ、役職がその人に責任を与え、
服装によって振る舞いは変わるものだと実感しています。
ノースウェスタン大学の心理学者たちは、
この現象を “囲い込まれた認知 “という言葉で表現し、
着るもので交渉術、運動能力、姿勢、自信、やる気、気分、
ホルモンレベルなどに影響を与えると結論づけています。
こうした話は、ゴルフのクラブライフになぜドレスコードが定められてきたのか、
説明してくれる内容にもなっているかと思います。
限られた会員が集まる社交の場で、同じ意識を持った者同士が集まることで結束を強め、
品位を保ち、風紀を乱すことを回避する効果があったのだと推察できます。
今回のUS-NGFでの調査では、
パブリック・ゴルフ場でのドレスコードを支持している専門家の44%は、
ドレスコードが緩和されれば、多くの人々にとってゴルフが
より魅力的なものになると考えているそうです。
また、ゴルフ未経験者の70%近くが、
ドレスコードが緩和されればコースでプレーする可能性が高まる
と考えている点で、考えが一致しているようです。
ゴルフが閉ざされたスポーツにならないためには、
ドレスコードの緩和は避けがたい流れになっているかもしれません。
ただ、その一方で、ゴルフウェアの着こなしが、
ゴルファーに与える影響についても考える必要があるでしょう。
私たちが当たり前と思っているドレスコードを崩しながらも、
生涯スポーツとしてのゴルフの魅力を損なわないよう配慮する、
柔軟かつ確固とした考えが
ゴルフプロフェッショナルには求められます。
NGF会員の方々にも、ドレスコードについて、
ゴルフビジネスプロフェッショナルとして、
ご自身の考えと情勢とを改めて照らし合わせてみて欲しいと思います。
NGF FAR EAST
宮田 万起子